もう準備万端?2020年4月1日~電子マニフェスト一部使用義務化

平成29年6月16日に交付された、廃掃法の法改正。

その中の一つに、一部の排出事業者における電子マニフェストの義務化があります。

この改正法の施行日は2020年4月1日で、2か月後には義務化がスタートになります。
今回は、電子マニフェストについて詳しくみていきましょう。

 

法改正の背景

この法改正は、皆さんも記憶に新しいと思いますが、2016年1月に発覚した食品廃棄物の不正転売事件等がきっかけです。廃棄されたはずのものが再び流通していたという、とんでもない事件でした。

「廃棄されたはず」というように、マニフェストには廃棄完了の旨が記載されていましたが、実際には処理されていなかったという不適正処理が起こっていたのです。

マニフェスト記載内容の信頼性担保や電子マニフェストの活用による不適正事案の早期把握や原因究明のために、法改正が行われることになりました。

電子マニフェストとは?

産業廃棄物を出す際に必ず発行しないといけない廃棄物管理票(マニフェスト)を電子上で行うシステムです。

排出事業者、収集運搬業者、処分会社がシステムに加入していることを条件に使用することができ、紙マニフェストでは紙面を介して情報履歴や報告を行うところを電子マニフェストではWeb上のクリック操作ひとつでできるのが特徴です。

・排出事業者:発生登録
・収集運搬業者:運搬終了報告
・処分業者:処分終了報告・最終処分報告

とそれぞれの報告事業者が情報登録をしていきます。

マニフェスト情報の照会・閲覧が容易にできることや、毎年6月までに自治体に提出する「産業廃棄物管理票交付等状況報告」を情報処理センターが代行するなど、事務管理コストの削減が期待できます。

電マニ義務化は誰が対象なのか?

電子マニフェスト一部義務化の対象者は以下のように記載されています。

特別管理産業廃棄物の多量排出事業者のうち、前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量が50t以上(PCB廃棄物は含まない)の事業場を設置する者

例えば、A病院が2018年4月~2019年3月の間に
・感染性廃棄物:50t
・廃プラスチック類:60t
を廃棄していたとします。
感染性廃棄物は特別管理産業廃棄物で年間50t以上発生する多量排出事業者になるため、電子マニフェストの使用義務が発生します。
一方、廃プラスチック類は産業廃棄物のため、電子マニフェスト使用義務対象外になります。

1つの排出事業場から年間50t以上の特別管理産業廃棄物を出した実績のあるところが対象となるのです。

電子マニフェスト導入に向けたポイント

電子マニフェストは排出事業者、収集運搬業者、処分業者がシステムに加入していれば使用することができますが、実際に「運用」していくためには、3つのポイントを抑えることをオススメします。

1.社内での運用ルールをきめる

実際に電子マニフェストを発行する前には、排出事業場登録や業者登録、社内の担当者登録など、様々な事前準備が必要になります。その事前情報の登録・管理や、実際のマニフェスト登録を誰がどのタイミングで行うかなど、社内での運用ルールを決めましょう。

2.取引先(収集運搬業者・処分業者など)との運用ルールをきめる

関連する収集運搬業者と処分業者と社内で決めた運用ルールで対応可能か、きちんとすり合わせした上で運用スタートしましょう。どのタイミングでマニフェストを登録するのか、数量の確認をどのように実施するのかなど、今まで紙で確認を取っていたことをどのタイミングでお互いに確認するのか、相互で理解をしておくことが重要です。

3.操作方法の習得と社内への周知

実際にマニフェスト登録をする人、マニフェスト情報を閲覧する人など、関連する社内のご担当の方に操作方法のレクチャーと電子マニフェストの運用ルールを周知しましょう。

 

以上のようなポイントを抑えることで、スムーズな移行と運用が期待できると思います。

今回は電子マニフェストの一部義務化ですが、電子マニフェストでの運用はメリットも多く、義務化対象ではない方も、この機会に電子マニフェスト化も含めた管理体制を見直してみてはいかがでしょうか?
Green propでは、電子マニフェストの導入に向けたサポートも行っております。お気軽にご相談ください!

 

 

出典
環境省:改正廃棄物処理法に関わる政省令改正(概要)https://www.env.go.jp/press/y030-25/ref02.pdf
環境省:Q&A 電子マニフェスト使用の一部義務化等についてhttp://www.env.go.jp/recycle/waste/laws/kaisei2017/faq_mani.html