廃掃法の抑えておくべきポイント:トレーサビリティは「マニフェスト」で

廃棄物の基本が記載されている法律「廃棄物及び清掃に関する法律」

日本における廃棄物の定義から処理に関することまで記されているのが、「廃棄物及び清掃に関する法律」(以後「廃掃法」)です。昭和40 年代に、経済の高度成長に伴う大量生産、大量消費、大量廃棄によるごみ問題が深刻化したことを背景として、従来の「清掃法」を全面的に改める形で、昭和 45 年に制定されました。その時々に発生した廃棄物問題の解決のために、これまで何度も改正されており、環境関連法規の一つとして存在し続けています。

法律を主軸に、施行令(政令)・施行規則があり、廃棄物処理に関わるより具体的な事項も定められており、私たちのような廃棄物処理許可業者もこの法令の下に業を営んでいます。

1998年より、産業廃棄物を出す時には「マニフェスト」が必須となった

「マニフェスト」と聞くと、選挙の際に政党や候補者が示す公約文書を想像されるかと思いますが、廃棄物業界ではまったく別ものです。
マニフェストとは「産業廃棄物管理票」のことであり、適正に処理するために、廃棄物の引き渡しから最終処分までの一連の足跡を残すツールになります。1993年4月より特別管理廃棄物を委託する際のマニフェスト使用が義務化され、1998年12月にすべての産業廃棄物にマニフェストの使用が義務化されました。

マニフェストの概要

義務事項である産業廃棄物のマニフェストですが、具体的にどんなものなのでしょうか。

廃掃法の第12条の3に記載されています。

(産業廃棄物管理票)
第十二条の三 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(当該委託が産業廃棄物の処分のみに係るものである場合にあつては、その処分を受託した者)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。
※一部省略しています。

これを読み解くと…
・産業廃棄物の運搬や処分を委託する場合は、マニフェストの交付が必要。
・交付義務は産業廃棄物を生ずる事業者、つまり、排出事業者にある。
・マニフェストには記載しなければいけない項目が決まっている。

となります。
第2項からは、交付したマニフェストをどのように回付していくのか、具体的なルールが定められています。まとめると以下のようになります。

◎マニフェストに記載する事項
交付するときに、この赤字になっている箇所は法令で定められている記載事項です。結構たくさんありますよね。

 

◎マニフェストの回付ルール
〈紙マニフェストの場合〉
関連する事業者がきちんと処理が行われたことを確認していくために、7枚複写で構成されるマニフェストは以下のような流れで回付されていきます。

1:廃棄物引き渡しの際、排出事業者は必要事項を記載しマニフェストを交付(これが1次マニフェスト)。A票を排出事業者の控えとして取り、B2~E票を収集運搬業者へ回付。
2:収集運搬が終了し処分場に荷下ろしした際、収集運搬業者は運搬終了報告の必要事項を記載し、B1~B2票を取りC1~E票を中間処理業者へ回付。
3:収集運搬業者は運搬終了の証として、B1票を自社の控えとして保管、B2票を排出事業者へ回付。
4:中間処理が終了した際、中間処理業者は中間処理終了報告の必要事項を記載し、中間処理終了の証として、C1票を自社の控えとして保管、C2票を収集運搬業者へ回付、D票を排出事業者へ回付。
5~8:中間処理後の廃棄物を最終処分する際、今度は中間処理業者が排出する立場としてマニフェストを交付(これが2次マニフェスト)し、1~4と同様の流れで処理と回付を行う。

9:最終処分完了報告が中間処理業者に届いた際、関連する1マニフェストに最終処分終了報告の必要事項を記載し、最終処分終了の証として、排出事業者にE票を回付する。

また、収集運搬終了・処分終了の伝票は終了日から10日以内に、最終処分終了の伝票は2次マニフェストのE票を中間処理業者が受領してから10日以内に回付することが定められています。

〈電子マニフェストの場合〉
紙マニフェストの回付ルールをみると、たくさんの工程があり、その都度郵送が発生するとなると
・終了日から報告完了までタイムラグがある
・事務管理が大変
ということが、図を見ただけで想定できるのではないでしょうか・・・
この報告にかかわる事項をすべてオンライン上で行うものが電子マニフェストです!
電子マニフェストでは、以下の図のように、工程に合わせて報告していきます。

◎マニフェストの保管義務
回付されたマニフェストは、5年間の保管義務が定められています。
紙マニフェストはそのマニフェストを各自で保管。電子マニフェストの場合は、システムを運営している情報処理センターが保管をしています。
(電子マニフェストシステム上でもすぐに情報は取り出すことが可能です。)

マニフェストの運用に不備があると罰則も!

・マニフェストの交付をせずに委託してしまった…
・マニフェストの記載内容に間違いがあった…
・必要な期間保管しなかった…

こんなマニフェストの法令違反は、行政からの措置命令や罰則:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象になります!

コンプライアンス遵守に向けて、マニフェストの内容や法令ルールをきちんと理解して、社内の管理体制を整備して運用することが重要ですね。

Green propでは、マニフェストを含んだ廃棄物管理のサポートも行っております。お気軽にご相談ください!