廃掃法の抑えておくべきポイント:契約書は必須!

廃棄物の基本が記載されている法律「廃棄物及び清掃に関する法律」

日本における廃棄物の定義から処理に関することまで記されているのが、「廃棄物及び清掃に関する法律」(以後「廃掃法」)です。昭和40 年代に、経済の高度成長に伴う大量生産、大量消費、大量廃棄によるごみ問題が深刻化したことを背景として、従来の「清掃法」を全面的に改める形で、昭和 45 年に制定されました。その時々に発生した廃棄物問題の解決のために、これまで何度も改正されており、環境関連法規の一つとして存在し続けています。

法律を主軸に、施行令(政令)・施行規則があり、廃棄物処理に関わるより具体的な事項も定められており、私たちのような廃棄物処理許可業者もこの法令の下に業を営んでいます。

 

廃棄物処理を委託する場合、「契約書」が必ず必要!

処理の委託に関して、廃掃法ではこのように記載されています。

法第12条第6項
事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

この「政令で定める基準」、いわゆる「委託基準」の中に委託契約書は必ず締結が必要で、そのルールも定められているのです。

ちなみに・・・
ここに記載のある「前項の規定」とは、廃棄物の処理を自らでできない場合、許可を持っている収集運搬業者や処分業者にお願いして処理しましょう!という内容です。
詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

 

契約にまつわる基本ルール

ここから契約書に関する基本ルールをご説明致します。
このルールは、廃掃法やその施行令及び施行規則で定められています。

それでは、条文とともに見ていきましょう。

 

基本ルールその1:書面で契約!

細かいルールが記載されているのは、まずこの条文です。

施行令 第6条の2第4号
委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。

この中で「委託契約は書面により行い」と記載されています。
委託契約は書面で契約しなければならず、口頭などでは行えません。

最近急速に拡大している電子契約も可能です!
(電子契約:e-文書法などの法律に基づき電磁記録での運用、保存すること)

委託契約書は引き取り前に必ず締結が必要ですので気をつけましょう。

基本ルールその2:契約書には14の情報を盛り込むこと!

同じくこの条文は次にこのように記載されています。

施行令 第6条の2第4号
委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。

この条文の後には「イ~ヘ」の6つの事項、そしてそれに関連する施行規則第8条の4の2には全部で9つの項目で詳細が定められています。
これを整理すると、以下の14の内容を委託契約には盛り込みましょう!ということになります。

これは適正に処理するために必要な情報です。事前に処理業者とも確認しながら情報整理しましょう。

基本ルールその3:二者間契約!

そもそも、廃棄物処理の委託に関しては、廃掃法にこのように記載されています。

第12条5項
事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第十四条第十二項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。※一部省略

また、平成6年2月に環境省から公布された通知には、以下のような一文がありました。

排出事業者と産業廃棄物収集運搬業者との間の契約及び排出事業者と産業廃棄物処分業者との間の契約という二者間契約の徹底を図られたいこと。

この内容から、排出事業者は収集運搬を委託する収集運搬業者、処分を委託する処分業者のそれぞれと契約を結ぶ必要があります。ただし、収集運搬と処分を同じ業者に委託する場合には契約書を1つにまとめることもできます。

基本ルールその4:契約書には許可証を添付!

もう一度、施工令の第6条の2第4号を見てみましょう。

施行令 第6条の2第4号
委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること

詳細は、施行規則第8条の4に記載されていますが、ここで記載されているのは、委託する業者の「許可証」を必ず添付しましょう!ということです。

委託する廃棄物が運搬できるか、処分ができるか、その業者のできることがわかるのが許可証になります。安全・安心に処理ができる証として添付が必須となっています。

基本ルールその5:契約終了後5年間保存!

最後に、この契約書の保存期間も法律で定めがあります。

施行令 第6条の2第5号
前号に規定する委託契約書及び書面をその契約の終了の日から環境省令で定める期間保存すること

施行規則 第8条の4の3
令第6条の2第5号の環境省令で定める期間は、5年とする。※一部省略

委託契約書には、契約終了日から5年間の保存義務があります。契約終了後も、決められた期間は適切に保存しましょう!

 

まとめ

基本ルールとして以下の5つをご紹介しました。

1 書面で契約!
2 契約書には14の情報を盛り込むこと!
3 二者間契約!
4 契約書には許可証を添付!
5 契約終了後5年間保存!

 

排出事業者は、産業廃棄物の処理を委託する際には、契約を締結する必要があります。
コンプライアンス遵守に向けて、契約の内容や法令ルールをきちんと理解し、適切な運用に努め、締結するようにしましょう!

Green propでは、契約書も含めた廃棄物管理のサポートも行っております。お気軽にご相談ください!