CSR(企業の社会的責任)の観点から考える「エシカル」とは?

「エシカル」という言葉をご存知ですか?最近は雑誌などでもエシカル消費やエシカル商品について掲載されているのをよく見ます。今回はその「エシカル」について、CSR(企業の社会責任)の観点から考えていきましょう。

エシカルとは?

エシカル(ethical)とは日本語で「倫理的」「道徳上」という意味を持ちますが、最近では人や社会、人権、地球環境、地域・社会課題に配慮した考えや行動を意味する言葉として使われています。「エシカル商品」や「エシカル消費」は、環境や人、社会課題を考慮してつくられた商品や、そういった商品を選択して購入・消費することを指します。

最近は、持続可能な社会の形成に向けたライフスタイルの1要素として、エシカルの考え方が消費者に浸透しつつあります。

消費者に支持されるエシカルな企業

企業にとって、「環境に配慮する」「持続可能なものやサービスをつくる」ということはCSR(企業の社会的責任)における重要なテーマです。今回は先進的な取り組みをする2つの企業を紹介します。

ニールズヤードレメディース

ニールズヤードレメディースは、美容と健康をサポートするためのエッセンシャルオイルやハーブティ、オーガニックスキンケア商品を取り扱うイギリス生まれのブランドです。1981年創業で、現在は日本を含む世界中で商品が販売されています。

創業者のロミー・フレーザーはビジネスでの選択を迫られた際、売れるかどうかよりも「その製品が次世代に残して恥ずかしくないものか」ということを判断基準にしていたそうです。

その結果、商品づくりにおいて
・遺伝子組み換え素材の不使用
・動物実験なし
・オーガニック原料の使用
・原料のフェアトレード
・原料のコミュニティトレード(生産者から直接購入)
を実現しています。

商品のパッケージは創業当時からガラス瓶を使用し、使用済みのものは自主回収してリサイクルを推進しています。環境への影響を考え、製品にマイクロプラスチックビーズを使用することはありません。

これらのこだわりが、消費者から長く愛される理由となり、顧客は20~80代と幅広い層の女性から支持されています。

NEAL’S YARD REMEDIES 公式Webサイト
https://www.nealsyard.co.jp/about/

CITIZEN

シチズンは1918年に創業し、グローバルに展開している時計ブランドです。エシカルな時計として2016年に誕生した「CITIZEN L(シチズン エル)」は社会や環境に配慮したモノづくりを実現しています。

商品のコミットメントは以下の5つです。
①時計を構成する主要成分とその含有量を公開
②ライフサイクルでのCO2排出量公開
③紛争鉱物(※)を使用しない「DRCコンフリクトフリー」を宣言
④取扱説明書のデジタル化
⑤再利用できるサステナブルな時計パッケージ
※武装勢力の重要な資金源となる紛争地域で採掘された鉱物資源

コミットメントにおいて商品の透明性や、社会課題に配慮した原料調達等を実施しています。また、商品パッケージでは、合皮からコルク素材に変え、ペンケースやパスポートケースとして再利用可能なデザインとなっています。

このような社会に配慮した取り組みは、当商品に限りません。シチズンの中長期計画では、人権や地球環境など社会課題に配慮した「サステナブル経営」が打ち出され、グループ全体で持続可能な製品の創出を目指すとしています。

CITIZEN公式Webサイト
https://citizen.jp/index.html

CITIZEN L 公式Webサイト
https://citizen.jp/l/special/index.html

まとめ

今回紹介した2社の商品は、エシカルやサステナブルに関心が高いとされる若い世代を中心に支持され、幅広い世代へと広がりを見せています。「大量生産・大量消費」の時代からの脱却が求められる今、長く使われ、愛される商品・サービス作りがエシカルの概念と繋がっていきます。

エシカルという概念が消費者の中で広がる中で、企業がビジネス展開の際に考えなければならないのが、消費者からの「共感」です。商品の選択が、人々のライフスタイルを形成する1要素となる現代で、これまで求められてきた「安くて便利」といった観点だけでは、今後、長く愛される商品・サービスには成長できないといえるのかもしれません。