日本のリサイクル法:建設リサイクル法 ~建設リサイクル法ってなに?~

建設リサイクル法の正式名称は、「建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律」です。
全産業廃棄物量の約2割、不法投棄・不適正処理量の約8割(2019年度実績)を占める建設廃棄物の再資源化を進めることで、廃棄物の最終処分場のひっ迫や不法投棄・不適正処理の問題を解決するべく、2000年に制定されました。

今回は、建設リサイクル法とは何かについて説明します。

 

建設リサイクル法の概要

建設リサイクル法とは、建設工事で発生する廃棄物の有効利用及び適正処理に努めることを目的に、分別解体や特定の建設資材について再資源化・減量化を行うことが定められている法律です。
まずは、建設リサイクル法の対象についてみていきましょう。

対象工事

建設リサイクル法では、以下の通り対象工事が決まっています。

このような工事を行う際は、建設リサイクル法を遵守して進めていく必要があります。

対象の建設廃棄物

建設現場で発生する廃棄物等は下の図のように細かく分類されます。

この図の中でも特定建設資材廃棄物については、建設リサイクル法の対象廃棄物となります。

 

建設リサイクル法のポイント

建設リサイクル法の概要を踏まえた上で、抑えておくべきポイントをみていきましょう。

ポイント1:分別及び再資源化・減量化の実施義務

建設リサイクル法の対象工事で発生する特定建設資材廃棄物については、現場での分別を徹底し、再資源化・減量化することが義務付けられています。

建設現場では、現場の状況にもよりますが「混合廃棄物」様々な廃棄物を一緒に廃棄する場面も多く見かけます。これだと、リサイクルできる廃棄物とできない廃棄物が混在してしまい、結果としてリサイクルできないケースも多々あります。

そうならないためにも、分別することを前提として施工計画を立てることが重要になってきます。例えば、住宅を解体する場合は、壁紙をはがし、壁材を解体し、断熱材を取るなど、一つ一つ工程を踏むことで分別しながらの作業ができますし、現場に廃棄物の種類別の分別ボックスを設けることで、工事に従事する人たち全員が意識して分別することができます。

ポイント2:建設リサイクル届出の提出義務

建設リサイクル法対象工事の発注者は、工事着手の7日前までに現場の管轄行政に届出(建設リサイクル届)を提出することが義務づけられています。
この届出には、以下のような事項を記載します。

・工事の概要(工事名、工事の場所、工事の種類・規模など)
・使用する建設資材の種類
・特定建設資材廃棄物の発生見込み量・処分先情報
・工事時期及び工程の概要
・分別解体等の計画等(建築物の情報、工程ごとの作業内容など)
・その他主務省令で定める事項

この中の「特定建設資材廃棄物の発生見込み量・処分先情報」については、具体的にどこで処理を行うのか、施設名やその所在地を記載する必要があります。
工事着工前に廃棄物処理業者とコミュニケーションを図るようにしましょう。

届出の手続きフローなどについては次回のコラムでご紹介します。

ポイント3:解体工事業者の登録

建築物の解体工事業を営む場合は、工事現場を管轄する行政で解体工事業の登録を行わなければなりません。
建設業の許可(建設業法の「土木工事業」「建築工事業」「解体工事業」)を受けている場合は登録不要になります。

これは、建設業法により500万円以下の解体工事(建築一式工事の場合は1,500万円以下)に関しては建設業の許可が不要であることが背景にあり、特定建設資材廃棄物が多く発生する解体工事においてよりリサイクルを推進することが目的です。

 

まとめ

今回は建設リサイクル法とは何かについてご紹介しました。どういう条件だと建設リサイクル法の対象となり、届出を提出しなければならないのかご理解いただけましたでしょうか?

次回は、建設リサイクル法の届出について詳しくお話いたします。

 

 

 

出典
環境省「令和2年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和元年度速報値(概要版)
環境省「産業廃棄物の不法投棄の現状(令和元年度)について
環境省「建設リサイクル法リーフレット