日本のリサイクル法:小型家電リサイクル法 vol.1 〜どんな法律?〜

みなさんは個人もしくは会社で使わなくなったパソコンや携帯電話などの処分に困ったことはありませんか?家庭でも事業活動でも使用しているパソコンや携帯電話などは「小型家電」と言われ、適正にリサイクルするための法律「小型家電リサイクル法」に則り処理をしなければいけません。
今回は、この小型家電リサイクル法の概要について解説します。

小型家電リサイクル法とは?

小型家電リサイクル法の正式名称は「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」といい、その名のとおり、小型家電の適正なリサイクルを促進するための法律となっています。
小型家電にはレアメタルと呼ばれる貴重な金属が多く使われていますが、これまでは使用済みの物はほとんどが埋立処分されていました。その状況を改善するために2013年に施行されたものが「小型家電リサイクル法」です。

小型家電リサイクルのメリット

小型家電が適正にリサイクルされると、以下のようなメリットがあります!

①埋立処分場のひっ迫を防ぐ

日本では埋立処分場の残余年数は約21年と言われています(2019年時点)。今まで埋立が主流だった小型家電をリサイクルすことで、埋立量を減らし、延命することができます!

②小型家電の不適正処理による環境汚染につながることを防ぐ

小型家電には鉛などの有害物質が使用されているものもあります。もし、不適正な処理がなされた場合、環境影響を及ぼす可能性を秘めているのです。適正に処理される流れを構築することで、それらが原因の環境汚染を食い止めることができます。

③資源採掘時の環境負荷を減らす

小型家電に使用されているレアメタル等は、採掘時にエネルギーや水を大量に使用する上、土砂等の鉱山廃棄物が大量に発生します。
小型家電リサイクル法によりレアメタル等の循環ができるようになれば、新たな資源を採掘する量を減らす=環境負荷も減らすことができます。

④資源の大部分を輸入に頼る中、資源の確保につながる

日本は非鉄金属の銅・亜鉛・鉛・ニッケルといった非鉄金属は100%輸入に頼っているため、リサイクルが推進されると自国内での資源確保もできるようになります。

 

小型家電をリサイクルして資源を確保するのはもちろんですが、リサイクルを推進することで他にもたくさんもメリットがあります!
小型家電のリサイクルは経済面、環境面どちらの面からも重要であることが分かりますね。

小型家電リサイクルの対象品

小型家電の対象品はたくさんありますが、代表的なものをご紹介いたします。

・電話機
・携帯電話
・ACアダプタ
・デジタルカメラ
・DVDレコーダー
・パソコン
・ハードディスク
・USBメモリ
・プリンター
・電卓
・扇風機
・炊飯器
・電子レンジ
・ヘアドライヤー
・電気かみそり
・アイロン・掃除機
・照明器具
・ゲーム機     など

合計28項目が指定されています!
USBメモリや電卓など、普通に捨ててしまいそうなものも入っていますよね…!これらも小型家電としてリサイクルできるものなのです。

まとめ

今回は、まず小型家電リサイクル法の概要をご説明しました。普段使っている小型家電製品の取り巻く環境を見ていくと、環境・社会・経済といろんな側面から課題があったことがお分かり頂けたのではと思います。対象製品がたくさんあるのも驚きだったのではないでしょうか。

次回は、実際の廃棄方法について解説いたします!合わせてご覧ください。

 

出典:
環境省「1小型家電リサイクル法 ~法律の概要・関係法令~」https://www.env.go.jp/recycle/recycling/raremetals/law.html
環境省「小型家電リサイクル_各種ガイドライン類」https://www.env.go.jp/recycle/recycling/raremetals/index_rel.html
環境省「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/html/hj21020301.html
環境省「社会経済及び環境に関する状況」https://www.env.go.jp/council/02policy/y020-88b/mat04.pdf