CSRとは?
CSRとはCorporate Social Responsibilityの頭文字をとったもので、日本では「企業の社会的責任」と訳されてきました。自社の利益のみを追求するだけではなく、自社の活動が環境や社会へ与える影響にも責任を持ち、社会や、企業の利害関係者(ステークホルダーと呼ばれます)の要求に対して適切な意思決定をしていくことを指します。
とはいっても、CSRと聞いて、英語は苦手だし理解するのが難しそう、専門的であまり馴染みがない、また新たな横文字のビジネス用語が出てきてしまった…なんて苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、CSRの根本となる考え方は、実は日本にも昔からあったのです!今回は日本のビジネスの歴史を築いた偉人たちの教えとCSRの共通点を見つけて、CSRをもっと身近に感じてもらいたいと思います。
近江商人の「三方よし」
「三方よし」という言葉を聞いたことがありますか?これは近江商人の考え方で、商売をする上で、日本で昔から大切にされてきた教えの一つです。
近江商人とは、江戸時代から明治にかけて活躍した、近江国(現在の滋賀県)の商人のことを指します。「三方よし」とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」というのが商売の基本であるという考え方です。売り手だけが儲かるのではなく、買い手が満足し、さらに世の中も良くなるようにしてこそ長く商売を続けていくことができるということを解いています。
これはまさにCSRの考え方と共通しています。
企業が自社の利益のみを追求していくのではなく、ステークホルダー(顧客や関係企業、地域住民などの利害関係者)の意見や要求に対応し、社会が良くなるように努めてこそ、企業として長くビジネスを続けていける、持続可能(サステナブル)な企業になれるというのがCSRの考え方です。
そう考えると、CSRが私たち日本人にとっても、とても身近な考え方であることが解ります。
松下幸之助の「企業は社会の公器」
「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助の言葉に「企業は社会の公器」があります。企業は、社会が求める仕事を担い、次の時代に相応しい社会そのものをつくっていく役割があるということです。
CSRの究極の目的は「持続可能な社会の実現に貢献する」こと。企業が、持続可能な社会(=次の時代に相応しい社会)そのものをつくるための役割を担い、事業を通して社会課題の解決(=社会が求める仕事)に貢献していくこと、それが今の時代に求められているCSRです。
松下幸之助が解いた企業のあり方と経営の考え方は、まさにCSRに共通するものであると思います。
まとめ
CSR(Corporate Social Responsibility)という言葉自体は見た通り、西洋から入ってきたものですが、蓋を開けてみれば、それは江戸時代から日本に存在するビジネスの精神と共通する考え方であったことがわかります。
日本の偉人たちの教えをもとにCSRを考えれば、1人の企業人としてCSRを身近に捉え、教えに基づいた意思決定や活動推進をより積極的に行うことができるのではないでしょうか。