2020年がスタートして約1ヶ月が経ちましたが、今年も様々な分野で新しいルールや規制が施行されます。特に東京オリンピックが開催されることが社会の大きな動きとして話題になっていますが、環境関連の新たな動きで大きな影響をもたらすものとして「レジ袋の有料化」が挙げられます。これは私たち一般消費者だけでなく、レジ袋を配布する店舗側、容器包装の生産事業者など様々な分野に影響を及ぼします。
そこで今回より全3回に分けて、この「レジ袋の有料化」について現時点での概要、国内の事例と海外の動向をご紹介致します。
レジ袋有料化の概要 ~ガイドラインより~
2019年12月27日に関係省庁が連携した合同委員会での審議・パブリックコメントを経て、容器包装リサイクル法の関係省令が改正されるとともに「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」が策定されました。同ガイドラインにはプラスチック製の買物袋の有料化は2020年7月1日から全国で一律に開始すると明記されています。
有料化を実施する対象事業者
有料化を実施する対象となる事業者は、容器包装を用いる事業が小売業に属する者となります。スーパーやコンビニ、衣料品店、カー用品ショップ等はもちろん対象となりますが、製造業やサービス業者等が事業の一部で小売事業を行っている場合、美容院で美容グッズを販売するケースなども該当することとされていますので事業者の方は注意が必要です。
なお、個人が単発でフリーマーケットにて商品を販売した際に袋に入れるというようなケースは対象外とされています(上記のようなケースでも継続的に販売事業として行う場合は有料化を実施する対象事業者に該当することになるとされています)。但し、これらの対象外とされている活動においても推奨目標とされていることからも、広く石油起源プラスチックのレジ袋を削減しようとしていることが伺われます。
対象となるレジ袋
消費者が購入した商品を持ち運ぶために使用する持ち手のついたプラスチック製の買物袋が対象となり、賞品や景品を入れる袋やスーパーマーケット等の生鮮品売場で食材を入れるために用いられるような持ち手のない袋は対象外とされています。また、クリーニングの袋など役務の提供に伴い使用される場合は対象にはならないとされています。
対象外となるレジ袋
繰り返し使うことを前提としたものや、生分解性やバイオマス含有率等に基づき対象外となるケースがあります。
①プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの
(但し、繰り返し使用を推奨する旨の記載もしくは記号の表示が必要)
②海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの
(第三者により認定または認証されたことを示す記載もしくは記号の表示が必要)
③バイオマス素材の配合率が25%以上のもの
(第三者により認定または認証されたことを示す記載もしくは記号の表示が必要)
レジ袋の価格について
価格については各事業者が自ら設定することができますが、以下のルールを守る必要があります。
・レジ袋の価格が消費者に明確に提示されなくてはならないと有料化とみなされない
(例:袋代金を別途記載せずに370円(袋・税込)のように商品と袋の価格を一体として設定することや、袋を辞退しても袋相当分として設定した価格が差し引かれない場合は有料化とみなされない)
・袋の1枚当たりの価格が1円以上でないと有料化したとみなされない
(また、2枚以上購入する場合、1枚目は無料で配布するなどは有料化とみなされない)
つまり化石燃料由来のプラスチックレジ袋を市場から極力減らすように容器包装メーカーや小売業者は心がけ、消費者も容器包装におけるプラスチック中心のライフスタイルを変革させましょうというのがこの制度の趣旨です。また、バイオマス素材の認証マークは既に某大手ストアや外食チェーンのレジ袋や食品パッケージ(おにぎりのフィルムなど)に記載されているものもあります。皆さんも探してみて下さい。
次回、第2回では日本国内のレジ袋規制についてご紹介します。
図:バイオマスプラスチックの表示に活用可能な業界認証
出所:環境省 プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン (http://www.env.go.jp/recycle/y0313-04/s2.pdf)
執筆者:小泉 翔(株式会社ATGREEN)
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