CSRレポートとは何か？その役割とは？

最近よく目にするようになった企業のCSRレポートですが、CSRレポートとはそもそも何なのか、意外と知られていないかもしれません。

今回は、「企業が発行するCSRレポートの役割は何なの？」「会社案内のパンフレットと何がちがうの？」といった疑問を解決していきましょう。

そもそもCSRって何？

CSR(Corporate social responsibility )とは「企業の社会的責任」のことです。

企業が社会に存在し、活動を行うことは環境、社会、経済に何かしらの影響を与えています。(上図参照)
企業は自社が与える影響に対して責任を持ち、地球環境や社会環境に配慮しながら経営・事業活動を行う必要があります。さらに、自社の利益だけを追求するのではなく、社会、そしてステークホルダー(利害関係者：消費者、投資家、社会全体など)からの要求に対して適切な意思決定をしていかなくてはなりません。

これがCSRの基本となる考え方です。

CSRレポートは会社案内ではない！

企業のCSRの考え方や具体的な活動について、ステークホルダーに情報開示するためのツールが「CSRレポート」です。
企業は、自社が社会に与える影響を正しく測り、マイナスの影響は最小限に、そしてプラスの影響は増大させることがCSR活動で求められます。
CSRレポートでは、企業のCSR活動の方針を明確に示し、自社にとって都合が良い情報だけではなく、時にはマイナスの情報も正しく開示しなければなりません。

CSRレポートの役割としては、以下のことが挙げられます。

＜CSRレポートの役割＞
➀企業が経済的側面に限らず環境・社会に配慮しバランスの取れた経営の意思決定をすることに活用
②社員が自社の企業活動およびその意義について理解を深められる
③企業が社内外のステークホルダーとコミュニケーションをとるための情報基盤
⇒CSRレポートは企業のCSR活動の情報開示を担う重要な報告書

(参考：CSR検定サステナビリティ経営とSDGs 3級公式テキストより）

CSRレポートは、企業の宣伝・広告ツールとは異なります。企業の良いことも悪いことも含め、ステークホルダーや社会が企業を評価するための情報が載った報告書です。また、役員・社員が、その企業の一員として行動し意思決定をする際の道しるべとしての役割もあります。

CSRレポートの現状

日本企業におけるCSRレポートの発行について、以下のようなアンケート結果があります。

CSR活動など非財務情報の開示について
＜対象期間＞
2017年11月～2018年1月

＜アンケート対象＞
3000社(上場第1部、第2部、マザーズ、　計2,795社および非上場売上高上位205社)
回答企業140社

＜結果＞
CSR・サスティナビリティレポートを発行していると答えた企業　56社

参考：一般財団法人企業活力研究所平成30年度新時代の非財務情報開示のあり方に関する調査研究報告書]
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/csrreports30report.pdf

こちらのアンケート結果からは、回答企業全体の40％がCSR・サスティナビリティレポートを発行していることがわかりました。

世界的に企業評価への非財務情報の活用が当たり前となり、投資においても企業の社会貢献等の取り組みを評価するESG投資が広がりを見せています。日本も例外ではなく、企業の社会課題への取り組み等に対する関心が社会全体で高まっています。

CSR活動が求められるのは、上場企業に限ったことではありません。国や自治体、上場企業が社会課題の解決やCSRを推進している以上、取引のある中小企業にも対応が求められます。最近は地方銀行などでも、社会課題への取り組みの推進が広がっています。こういった背景からも、CSRへの取り組みやCSRレポートの発行は中小企業にも確実に広がりを見せています。