「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」とは?

2020年4月となり、「令和2年度」がスタートしました。
組織としても新年度がスタートし、いわゆる年度初めでいろんな業務が山積している方も多いと思います。

産業廃棄物に関しても、年度初めにやらなくてはいけない、大切な業務があります。
それが「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」です。

この報告は、排出事業者が前年度1年間(4月~3月)の産業廃棄物管理票(すなわちマニフェスト)の交付状況を行政に報告する というものです。
廃掃法の第12条の3第7項に記されており、すべての排出事業者が果たすべき義務事項になります。

産業廃棄物管理票交付等状況報告書のポイント

1.行政に報告するのは「排出事業者」

マニフェストの交付状況を報告するものです。ということは、マニフェストを交付する義務がある「排出事業者」がこの報告書を作成し、行政に報告しなくてはいけません。もちろん、作成にあたって委託している処理業者に相談することはできると思いますが、提出義務は排出事業者にあります。

2.報告するのは、紙マニフェストの交付状況

対象となるのは、紙マニフェストの交付状況のみです。年度の期間内に1枚でも紙マニフェストで交付した場合、その量に関わらず報告対象になります。
一方、電子マニフェストを使用した情報は報告する必要がありません。電子マニフェストシステムを運営している、日本産業廃棄物処理振興センターが代わりに報告することになっています。

↓電子マニフェストについては、こちらのコラムでも少し説明しています。
廃掃法の抑えておくべきポイント:トレーサビリティは「マニフェスト」で
https://greenprop.jp/column/p1409/
もう準備万端?2020年4月1日~電子マニフェスト一部使用義務化
https://greenprop.jp/column/p1223/

3.報告書に記載するのは、「誰が・どこから・なにを・どれくらい・誰に」委託したか

・誰が:排出事業者=報告者の住所や氏名・連絡先
・どこから:排出事業場の名称や所在地
・なにを:廃棄物の種類
・どれくらい:排出量&マニフェストの交付枚数

・誰に:収集運搬会社・処分会社の情報
この5つの観点からの情報を報告書に記載していきます。

4.どの行政に提出するのか、それは「排出事業場」を管轄する行政

排出事業者の所在地・住所ではなく、産廃を排出した場所 すなわち「排出事業場」の所在地を管轄する行政に提出となります。

例えば・・・
排出事業者:株式会社Green prop(本社:福岡市博多区)
排出事業場:株式会社Green prop 物流本部(筑紫野市)
の場合、物流本部がある筑紫野市を管轄する行政は福岡県であるため、
福岡県 が提出先になります。

これが、
排出事業者:株式会社Green prop(本社:福岡市博多区)
排出事業場:株式会社Green prop 本社(福岡市博多区)
の場合、本社がある福岡市を管轄する行政は政令市の福岡市であるため、
福岡市 が提出先になります。

必ずしも都道府県というわけではないことが重要です!
廃掃法等の定められている政令市は、「政令指定都市」とは異なります。

所轄行政がどこになるかはこちらをご参考ください。
都道府県・政令市の所轄部署一覧(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)https://www.jwnet.or.jp/workshop/shuryoushou_shokatu/index.html

5.提出期限は6月30日までに郵送又は持参か電子申請で!

この報告書の提出期限は、6月30日までと法律で決められています。提出期限は管轄行政による違いはありません。早めに取りかかるようにしましょう!
また、行政によっては電子申請システムで提出可能なところもあります。管轄行政のWebサイト等で提出方法が確認できますので、事前にしっかりと要件を調べておきましょう。

6.期限内提出ができなかった場合は罰則も

この報告は、法律で定められている「義務事項」です。義務を怠った場合は、管轄行政の長から必要な措置を講ずるよう勧告されることがあり、勧告に従わない場合にはその旨が公表されることがあります。また、公表後に改善が見られない場合には必要な措置をとるよう命じられる場合があります。この命令に違反した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

報告書作成を廃棄物管理方法見直しの機会に!

 

年に1回の産業廃棄物管理票交付状況等報告書ですが、
・排出量が多い・・・
・排出事業場が多数存在する・・・
・廃棄物の種類が多くて、委託している処理業者の数が多い・・・ 

こんな排出事業者にとっては、作成に結構な時間がかかることが多いと思います。
月次で一旦締めて管理したり、電子マニフェストに切り替える(自らの報告は不要になる)など、適切な管理方法があるかもしれません。

自らの廃棄状況を把握し、同時に廃棄物管理の方法を見直してみてはいかがでしょうか。