日本のリサイクル法:建設リサイクル法 〜建設リサイクル法の手続き〜

建設リサイクル法の正式名称は、「建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律」です。
全産業廃棄物量の約2割、不法投棄・不適正処理量の約8割(2019年度実績)を占める建設廃棄物の再資源化を進めることで、廃棄物の最終処分場のひっ迫や不法投棄・不適正処理の問題を解決するべく、2000年に制定されました。

前回は、建設リサイクル法のポイントについてご紹介しました。
その中で、建設リサイクル届出の提出義務についてお話しましたが、今回はその届出手続きについて詳しくお話していきたいと思います!

建設リサイクル法の手続きの流れ

建設リサイクル法の対象となる工事を行う場合、工事に関連する発注者や元請業者、下請業者などとの手続きを行い、再資源化を進めていきます。
下の図はこの手続きの流れです。大きく7つのステップがあります。一つずつみてきましょう。

①発注者への説明

工事の元請業者は、工事の概要や工程と合わせて、建設リサイクル法に基づいた分別解体の内容や特定建設資材廃棄物をどのようにリサイクルしていくか等、建設リサイクル法の「届出」(通称:建設リサイクル届)に関する内容についても説明を行います。
ここでは書面を交付しての説明が必要ですが、具体的な内容は届出の様式を活用すると良いでしょう。届出の書面には具体的には以下のような項目が必要になります。

説明書の様式は特に指定はありませんが、各自治体のホームページに参考様式が添付している場合もありますので、チェックして見ましょう!

②発注者との契約

契約書には、建設リサイクル届の内容を明記する必要があります。内容が網羅されているか確認した上で、契約を進めましょう!

③管轄行政へ事前届出の提出

発注者もしくは委任を受けた元請業者は、工事の7日前までに工事を行う場所の管轄行政に事前届出、いわゆる建設リサイクル届を提出しなければなりません。

書類は「①発注者への説明」で使用したものと同じです。届出を提出して承認されると届出済シールが付与されます。
これは「きちんと建設リサイクル届を出して、法に則り進めている工事です!」という証になります。
施工中に工事看板等に貼付する必要がありますので、着工まできちんと管理しましょう。

④元請業者から下請業者への告知

工事をスムーズに行うために、建設リサイクル届の内容を下請業者へ告知し共有します。

⑤元請業者と下請業者との契約

④で告知をした後に、建設リサイクル届の内容を明記した契約を交わします。

⑥施工

③の届出提出時に付与された「届出済シール」を現場の工事看板などに貼付して工事スタートします。
工事中は関連業者みんなで分別解体・リサイクルを実施します。

⑦元請業者から発注者へ完了報告

元請業者は発注者に対してリサイクルが完了したら書面で報告します。

書面には、
・再資源化等が完了した年月日
・再資源化等をした施設名称及び所在地
・再資源化にかかった費用
を記載する必要があります。マニフェスト等での管理もきちんと行いましょう。

報告の様式は各自治体のホームページに参考様式がありますのでご活用ください。

建設リサイクル推進計画2020が策定!

建設リサイクル法が施行されて19年が経過しました。建設リサイクル法施行前の1990年代は、リサイクル率約60%だったものが、2018年度は約97%と高い水準まであがりました!
国土交通省では、建設リサイクルや建設廃棄物の適正処理を推進するために「建設リサイクル推進計画」を6年ごとに策定しており、2020年9月には最新版である「建設リサイクル推進計画2020」が発表されました。

今回の計画のポイントは「質」を重視するリサイクルです。高いリサイクル率を維持しながら、今後はリサイクルされた材料の利用方法に目を向けるなど、リサイクルの「質」の向上を目指しています。そのために、2022年度に国土交通省と環境省が合同で、建設リサイクル法の対象となる工事の基準の見直しや、リサイクル特定品目の追加検討を進めるという発表がありました。

時代の流れを踏まえて、建設リサイクルも進化していくと思います!

まとめ

建設リサイクル法の手続きは、いくつものステップがありますが、発注者・元請業者・下請業者など、工事に関連する人たちみんなが理解して進めていく必要があります。しっかり流れを抑えた上で進めていきましょう。

建設リサイクル法は分別解体、再資源化を前提にした工事を計画する必要があり、処理会社との連携が必須です。また、より質の高いリサイクルを実施していくためには、優良な再資源化施設での処理が求められます。

Green propでは、法令に対応した処理フローづくりもサポートしています。
コンプライアンスやリサイクルへの対応など、是非ご相談ください!

 

 

出典
環境省「産業廃棄物の不法投棄の現状(令和元年度)について」http://www.env.go.jp/press/files/jp/115533.pdf
環境省「建設リサイクル法リーフレット」http://www.env.go.jp/recycle/build/build-leaflet-update.pdf
国土交通省「建設リサイクル法 届出様式集」https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/d03project/d0303/page_030305format.htm
国土交通省「建設リサイクル推進計画2020」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001365044.pdf